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2.インスリン注射薬

薬物療法でもなお十分にコントロールができない、あるいは最初からインスリン依存の状態にあるという人たちについてはインスリン療法を行うわけですが、インスリン療法の基本的な考え方は、健常者のインスリン分泌をなぞる形で不足したインスリンを補うことにあります。
インスリン依存型糖尿病に対して積極的にインスリン注射療法を行うとすれば、ベストのインスリン注射は毎食前に速効型を打ち、寝る前に中間型を打つという一日4回の注射が基本の治療になります。その際には血糖を自己測定させる。それも一日に4回以上の自己測定が必要になってきます。こうすれば、インスリン依存を呈している場合においても、血糖のあるレベルまでのコントロールは可能であるといえます。
人工膵臓、あるいは膵移植という治療法も可能ですが、非日常的です。非日常的ではないということからすると、現時点ではペン型注射器を使う、血糖自己測定システムを用いるという形で、ともかく毎食前に速効型を用いる、そして就寝前に中間型を。これがインスリン依存の糖尿病に対するベストの治療法なのです。
インスリン非依存型糖尿病でも、経口糖尿病薬でうまくコントロールのできない場合については、インスリンに切り替えていく。このときには、インスリンの必要量が一日20単位以内であれば朝あるいは夜一日1回、あるいは一日2回の中間型を中心にしたインスリン療法でも十分効果は得られますが、基本的な考え方は、やはり毎食前に速効型を打つことです。これを基本として考えれば、すべてのタイプの糖尿病に対するインスリンの使い方は適正に行われるものと考えます。

 

 

 

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